目標に続いて、2つめのポイントは成長マインドセットです。
前回のブログでは、習慣化された思考や行動を変えることがいかに困難であるかを説明しました。それはまるで壁に書かれた落書きを消しゴムで消す作業のようなものです。しかし、成長マインドセットはこのプロセスにおいて重要な役割を果たすのです。
成長マインドセットとは以下のようなものです。
やればできると考え、取り組みが無駄ではないと信じる。
自分の能力は伸ばすことができると信じる。
他人の評価よりも自分自身の評価に意識を向ける。
困難な状況を成長の機会と捉える。
このマインドセットを持つかどうかで、成長スピードに大きな違いが生じます。
それでは、指導者やファシリテーターとして、研修生の成長マインドセットを促すためには何ができるでしょうか?以下にインドのグローバルビジネス研修で実践している事例を紹介します。
研修生の課題を理解し、克服する手助けをする。
研修生が自分のありたい姿をより具体的に意識できるよう支援する。
新しいことにチャレンジする機会を作り、一歩踏み出すよう励ます。
1. 本人の課題を理解して、克服できるよう手助けをする
インドの研修生が陥りがちなのは、日本を基準に考えて何か困難な状況に直面すると、外部要因やインド環境のせいにして不平不満を言い始めることです。都合の悪いことには理由をつけてチャレンジせずに逃げてしまうことで、成長の機会を逃してしまいます。
具体的な事例として、実際の研修生Aさんの思考・行動パターンを可視化した図があります。Aさんはインドで予期せぬ問題が起きたり、予定通りに物事が進まなかった時にイライラし、ネガティブな態度を取り、周りの人に不信感を抱かせていました。これは無意識の思考・行動パターンであり、自覚していません。
指導者やファシリテーターは、アプリのデータや行動観察に基づいて、客観的なフィードバックを通じて気づきを提供します。また、研修生がフィードバックを受け入れられない場合には、ネガティブな感情の原因や心のブレーキを見つけるための手助けも必要です。
そして、課題を克服するための対処方法を共に考えます。
この時に大切なのが、
② 研修生が自分のありたい姿をより具体的に意識できるよう支援する
前回のブログでお伝えした、行動変容を促す1つ目のポイント①目標
自分がこうなりたい、こう変わりたい、 自分が心からそう思うこと、を一緒に確認します
Aさんが目指す10年後のリーダー像、
”この人の部下になってよかったと思われるが、包容力を持ったリーダーになりたい”
包容力とはどんな意味がある?
”様々なタイプの部下の価値観を認め、かつ組織をまとめるために、価値観・考える方向性をある程度一致・統一させる能力がある人”
自分の立てた目標(こうなりたい、こう変わりたい)に辿り着くには?
自分の強みをどう伸ばし、自分の弱みや課題をどう克服したいか?
時間通りに進まないとイライラしてしまう(弱い自分が出た時に)、どう負の感情と向き合うか、どう対処したら良いか? ありたい自分に近づくためどうすれば良いか? 一緒に考えて行きます。
そして、本人が行動を起こしたいと感じ始めたら、
3. 新しいことにチャレンジする機会を作り、一歩踏み出すために励まします
具体的な事例として、研修のファイナルプロジェクトのチームリーダー役を通じて、自身の課題に向き合う機会がありました。予定通りにタスクが進まない、チームメンバーの協力が得られないなどの状況で、自身のネガティブな感情をコントロールする方法に日々チャレンジしました。
プロジェクトの過程で、Aさんのポジティブな側面や強みが見えてきました。それらをマインドマップで可視化し、本人にも客観的なフィードバックを提供しました。自身の強みを活かし、セルフコントロール方法を用いて課題を克服することが効果的であることが分かりました。
このマップから読み取れるのは、Aさんは目標がクリアになると、目標に向けて達成意欲がわき日々の活動へのモチベーションに繋がっていることです。
目標をしっかりと意識化する事がモチベーションに繋がり、プラス思考になれることが分かりました。
さらに、Aさんの強みは、目標に向かってコツコツ真面目に取り組めること、粘り強さを発揮する。 GRIT(やり抜く力)があります。また、計画性を持って行動する、優先順位をつけて行動する事が自然に出来ること。
強みについて、本人にも客観的なフィードバックを与えます。そして、自分の強みを生かして、自分の課題を克服するセルフコントロール方法が効果的であることが分かってきました。これをマイナス思考をプラスに切り替える方法として、日々実践していきました。
振り返りでの、Aさんのコメントです。
”同じ状況でも、心の持ちようで、そこから見える景色はガラリと変わる!!マイナス思考は厳禁。この状況をどうプラスに持っていくか、プラスに考えていくか。反省すべき点はきちんと洗い出し、反省すべきだが、それ以上、自己嫌悪したり後悔を引きずったりする必要はない。考え方を変えれば、状況の見え方は必ず変わる。”
習慣化された心の癖を直すのは時間がかかりますが、毎日の1%の努力・改善があれば、1年後には大きな変化・成長に繋がっていると思います。
まとめになりますが、成長マインドセットを促すために出来ること、
研修生の課題を理解し、克服するためにサポートする。
研修生が自分のありたい姿をより具体的に意識できるよう支援する。
新しいことにチャレンジする機会を作り、一歩踏み出すよう励ます。
以上が、フジヤマカンパニーのグローバル人材育成プログラムの事例に基づく成長マインドセットを促す方法です。参考にしていただければ幸いです。今回は以上となります。
(フジヤマカンパニーのインドプログラムについて)
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